[不定期連載/日記小説①]怒られる人

雑記

※この日記小説は僕の日常生活の中から着想を得たフィクションであり、登場する人物や団体は実在の人物や団体とは関係ございません。

怒られる人

目の前に怒っている人がいる。

この人は何故怒っているのだろう?きっかけは僕の些細なミスだったと思うが、そこから発展して現在は何をテーマに怒っているのかよく分からない。最初の波が収まってから二度目の怒りが押し寄せる頃には俺の意識はパニックルームへと逃げ込んでいた。

俺には怒られるときの対処法がある。

それは、相手が何故怒っているのかを考えないようにすること。

おそらく相手には何か腹に据えかねるものがあるのだろう。それを分析し理解しようとする行為は相手の負のエネルギーに正対することになる。

これは耐えられない。

何が楽しくて相手の放つ負のエネルギーを受け止めなければならないのか。

では逆に、相手が正のエネルギーを発してきた場合はどうだろう?

具体的に言うならば、好き好きオーラーを俺に向けてきた場合、俺はそれを正面から受け止めるのかということである。こんなオヤジに好かれるのは嫌だが、多分それが異性だったとしてもイヤだ。

正負関係なく相手の剥き出しの感情を押しつけられるのは気持ち悪い。

感情は基本的に抑えるべきものだと俺は思う。大人は喜怒哀楽をさらけ出してはいけないのである。特にビジネス社会では人前でゲラゲラ笑ったりオイオイ泣いたりなどしないものである。そんなことする人はまともな社会人ではないのである。

誰だって会社では感情を抑えるのに、なぜ「怒り」の感情だけはダダ漏れにするのだろう?

いやもしかしたらこの人は他の感情もダダ漏れにする人なのかもしれない。契約が取れて嬉しいときには小躍りしながらスキップし契約がキャンセルになれば泣き喚き、社長に怒られれば部屋の片隅にうずくまっていじけるのかもしれない。

それならこの怒りようにも納得がいく

だって、部長は三日に一回は俺に怒りをぶつけてくる。他の人にはしないのに俺にだけ全力で怒ってくるのは、多分俺が相手の感情を上手く受け流せるタイプの人間だということを本能的に感じ取っているからなのだろう。

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