最近読んだSF小説の感想まとめ

僕は活字中毒というほどではありませんが、数か月に一度無性に本が読みたくなる時期があります。読むのは主に小説なのですがジャンルはその時の気分次第だったりします。

半年ほど前からなんとなくSF小説が読みたくなりネットで面白そうなものを探しては図書館で貸りて読んできた本の感想など備忘録として書いておきます。

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最近読んだSF小説の感想

ΑΩ(アルファ・オメガ) / 小林 泰三

by カエレバ

 

10年ぐらい前に一度読んでいる本ですが、すごく面白かったのでまた読み返してみました。はっきり言ってしまうとウルトラマンをSF的アプローチでホラーテイストに味付けした長編小説です。主人公の名前が諸星隼人というところをはじめ随所にウルトラマン的なネタが散りばめらていてある程度の世代の人たちは楽しめるのではないかと思います。

ただ小林泰三氏はホラー作家ということもあり、全編を通して漂う不穏な空気感や行間から腐臭が滲み出てくるようなグロ・ゴア表現が多いので、そういうのがダメな人にはおすすめできません。

久しぶりに読みましたが、意外に内容や展開も覚えていたところをみると、かなり鮮烈な記憶に残るような内容の小説だったんだなと思いました。円谷プロさんサイドのOKが出るなら、是非実写映画化にチャレンジしてもらいたい作品です。

ザ・ロード / コーマック・マッカーシー

by カエレバ

 

こちらも以前に見た映画が印象に残っていて、いつかは原作を読んでみたいと思っていたので今回読んでみました。ストーリーは何らかの天変地異によって厚い雲が発生し太陽光が遮られて数年後、安住の地を求めて南下し続ける父親と息子の物語です。

日中でも空は灰色で草木も枯れ果てた灰色の絶望的な世界の中を彷徨い続ける親子は道中、盗賊や食人族、絶望感に打ちのめされた人たちと出会います。作中はまったく語られませんが、おそらくは恐竜を滅亡させたものと同じ規模の天変地異であろうと思われるので静かに滅亡を待つしかない世界なのですが、彼らは心の中の「火」を運ぶという表現を用いながら過酷なサバイバルを続けます。

映画同様、エンターテインメント性のある展開も陰鬱な苦しみの先にハッピーエンドがあるわけでもありませんが、クールな目線で淡々と描かれる冷酷な世界の中で必死に生きる人間の姿は美しくけなげであり、それは同じ作家原作で映画化されたアカデミー賞作品『ノーカントリー』にも共通するものだと感じました。

幼年期の終わり / アーサー・C・クラーク

by カエレバ

 

「SF小説おすすめ」でネット検索すると必ずというほどリストの中に入っているのがこの「幼年期の終わり」と「星を継ぐもの」なので、そんなに言うなら読んでやろうじゃないかと思って読んでみました。

60年も前に書かれたSF小説なので、どうせカビの生えたような一昔前の科学考証をベースにしたものだろうと思ってちょっと斜に構えていたのですが、最初の章を読み終えたころにはガッツリハマっていました。

ある日、世界中の都市上空に巨大な宇宙船が現れるというモチーフは様々な映画でも採用されている宇宙人侵略物の王道となっていますが、多分その元ネタがこの本なのではないかと思います。当初は高度な科学力を武器にした宇宙人の地球侵略なのかと思われるのですが、あくまで紳士的に接し、困ったことがあれば手を差し伸べ科学技術の提供もしてくれる神のような宇宙人の真意はどこにあるのかという話なのですが、僕はいい意味で予想を裏切られました。

アーサー・C・クラークといえば「2001年宇宙の旅」の原作者でもありますが、宇宙に生きる生命体の高度な精神性や神性のようなものをテーマとした作風は何年たっても色あせることはないと感じました。確かにこれはSF好きじゃなくても読んでおくべき一冊ではないかと思います。

星を継ぐもの / ジェイムズ・P・ホーガン

by カエレバ

 

こちらも現代SF小説のバイブル的な存在です。幼年期の終わりが宇宙人とのリアルタイムな出会いであるのに対し、こちらは5万年もの昔に存在した宇宙人を科学的に考証していくという内容です。

物語は基本的に研究所や机上で展開していくので派手なアクションや事件があるわけもなく、研究者同士の難しい推論がズラズラと羅列されていくので、途中かなり退屈しますが全ての謎が解き明かされた時には、時空を超えた壮大な物語が姿を現します。科学的な考証や推理ものなどが好きな方におすすめの作品です。

新世界より / 貴志祐介

by カエレバ

 

この小説は仮想世界が舞台で、呪力という超能力を持った人間たちの話です。SFというよりファンタジー系の小説ですが、大きな力を手にした人間はその力の乱用により破滅的な状況に置かれており、呪力を人間に使って死に至らしめたものはその者も死んでしまうという愧死機構によって危ういバランスを保ちながら存続しています。

世界には人間以外にもバケネズミと呼ばれる知性を持った巨大なネズミがいて人間の下僕として使役されているという不思議な世界の中で繰り広げられる破壊と創造の物語です。

貴志氏は、ミステリーやホラー、サスペンスなど幅広いジャンルの小説を書いている作家さんで「悪の教典」や「黒い家」など、多くの作品が映像化されています。意外なとこで回収される伏線や恐怖の描写など筆致も巧みでどの作品を読んでも、いつの間にか作品世界に引き込まれてしまいます。その中でも2012年にテレビアニメ化もされたこの作品は、様々な要素の盛り込まれた極上のエンターテインメント作品となっていますのでおすすめです。

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