ウォーキング・デッドはシーズン7の放送も始まり第一話の余韻というかトラウマからなかなか立ち直ることのできない今日この頃、いかがお過ごしでしょうか。TWDはゾンビドラマなのでゾンビがすることにはある程度耐性もあるのですが、生きた人間がやることというのは裏に悪意や負の感情を感じてしまうのでメンタルに堪えるというか、終末的状況の中、数少ない人間同士が助け合わず殺し合うところに人間のカルマを感じています。
とはいえ何も起こらなければドラマが成立しないんですけどね。
ウォーキング・デッドとゾンビ
私の脳内にあります日本ゾンビ学会では、日々ゾンビに関する研究考察が行われています。本日はウォーキング・デッドにおけるゾンビについての考察をしてみたいと思います。
まず基本的にこのドラマ世界に〝ゾンビ〟という概念はありません。どういうことかというと、ドラマではゾンビが町を徘徊しはじめるところから話がはじまりますが、ゾンビに対する予備知識を誰も持っていません。
通常であれば死んだ人間がうろいついて人を襲い始めれば誰もがゾンビと認識するはずです。TWDの世界は、巨匠ジョージ・A・ロメロが誕生しなかったパラレルワールドの物語なのです。
TWDはゾンビという概念の無い世界なので、ゾンビという呼称は一切使われず「ウォーカー」や「徘徊者(ローマー)」などと呼ばれています。
当事者たちはゾンビが発生してしばらくの間、どのように対処すればいいのかを多大な犠牲者を出しながら徐々に学んでいくことになります。これはゾンビ映画の枕詞みたいなものであり、お約束のようなものでもあります。
こんなマニュアルもある我々の世界ではいつゾンビが発生しても対処は万全ですね。
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ゾンビとは何か?
ゾンビ自体に細かい定義はありませんので作品によって設定や仕様についてはマチマチです。共通する部分は〝動く屍〟であるということぐらいです。一度死んだ者が何らかの作用によって動きだし人を襲うということがゾンビの基幹であり、これなくしてゾンビドラマは成立しません。
死んだ人間がどうして動き出すのかという部分に関しては、脳内学会でも意見が分かれるところです。宇宙からの放射線説やウィルス説、呪術説、バイオ兵器説など諸々ありますが、このあたりを掘り下げたゾンビ作品は少ないので納得できる説がこれから出てくるのを期待しているのですが、要するに原因はどうでもいい訳です。
ではなぜゾンビは人を襲うのかということに関しましては、他のエントリーで考察を書かせていただいたのでこちらもお読みください。

ウォーカーについての考察
ウォーキング・デッド内においては、ゾンビのことをウォーカーと呼んでいますので、ここではウォーカーに関する考察をしていきたいと思います。
まず、ウォーカーは死んだ人間が動き出し人を襲うというゾンビに準拠した設定です。死体の動きを司っているのは脳なので、ウォーカーの頭部を破壊することで動きを止めることができます。動いている間は生者のみに対して執拗にまとわりつき攻撃を仕掛けてきますがその理由が明確でないところもゾンビと一緒です。
①転化について
ゾンビに噛まれると数時間から数日で死に至りゾンビ化します。劇中ではこれを「転化」と呼んでいます。このあたりはゾンビのお約束設定ではありますがTWDにはちょっとした違いがあります。
ゾンビ映画では自然死以外にゾンビに噛まれる、ゾンビに引っ掻かれる、ゾンビの体液を浴びた際に傷口や口に入ってしまうこともゾンビ化の原因となっています。
ウォーキング・デッドでは、引っ掻かれての転化やゾンビの体液を浴びての転化描写はここまでほとんど無かったと思うので、自然死とゾンビに噛まれることだけが転化の原因とされているようです。
劇中ではゲームのデッドライジングばりにゾンビの群れと戦うことも多く、ゾンビ原理主義者としましては、ゾンビの体液をそんなに浴びて感染しないのかとハラハラしてしまいますが、このルールを適用するとあっという間に全員ゾンビになってしまうので、この辺は緩くしておくとしましょう。
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②ウォーカーの習性
ウォーキング・デッドではウォーカーの習性についてかなり詳しい描写がされており物語の進行においてこの習性を逆手に取って危機を乗り切るような場面も多くあります。
ウォーカーは音に対して敏感に反応します。特に銃声やクラクション、人の叫び声など大きな音のする方に向かう習性があります。嗅覚もかなり敏感なようで生者と死者の臭いを嗅ぎ分けていることを想定して体中にウォーカーの内臓を塗りつけて群れをやり過ごすという描写も出てきます。その反面視覚はあまりよくないようで、明るさを認識する程度で炎に突進して炎上するような描写もあります。
僕がなるほどと思った習性は、少数のウォーカーが物音に気付き動き出すと、その動きに反応して他のウォーカーも追随するというものです。最初は小さな集団として動き出したウォーカーがその動きに反応したウォーカー達を巻き込みいつの間にか大集団化して押し寄せます。
ウォーカーに言語はないので意思の疎通はありませんが、イワシやムクドリのように他の個体の動きに追随して動くという単純な習性がウォーカーの大集団を作り出し生存者を絶望の淵へと追いやるのです。
③ウォーカーの身体能力
ウォーキング・デッドが放映される以前には〝走るゾンビ〟というのが幅を効かせていました。飛び跳ねたり全力疾走で追いかけてくるゾンビはそれまでののんびりしたゾンビ像を一変させるインパクトがありました。
僕はこの走るゾンビというのはあまり好きではありません。ゾンビは〝動く屍〟なので、時間が経つほどに腐敗が進行していきます。筋肉組織も崩壊していく訳ですから動くのもやっとのはずです。科学的にあり得ないものに科学的に文句を言うのはナンセンスだと分かっていますが生きている人間よりも身体能力の高い死体というのは認めたくないというのが僕の考えです。
ただ死んで間もない人間や生前に身体能力の高かった人間は最初の内、キレのいい動きをすることは納得できます。ウォーキング・デッドでは専属のゾンビの振り付け担当者がいるので、かなり細かくウォーカーの年齢や性別、腐敗状況も踏まえた動きをするように考えられています。ドラマでそのあたりも注目すると面白いです。
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④ウォーカーの弱点
人間には急所と呼ばれる多くの弱点があります。そこを攻撃されると基本的に行動不能になってしまう、もしくは絶命してしまうポイントなのですが、死人であるウォーカーには急所がありません。
ウォーカーには痛覚がないので、どこにどんな攻撃を受けても平然としています。痛みがなければ動きに躊躇いも戸惑いもなくひたすらに突進してきます。銃を突きつけてフリーズと言ってもまったく意味がありません。
TWDではウォーカーを動かしている中枢は脳にあるという設定になっています。ドラマによっては、全身レベルで動く設定もあるので、切り離された手や足が襲ってきたりという場面もありますが、ウォーカーに関しては脳が破壊されると動きが止まります。
したがって、ウォーカーへの対処法はいかに脳を破壊するかがポイントになってきます。ウォーカーと戦うにあたっての最適な武器に関する考察をまとめたエントリーもありますのでこちらもよろしければご覧になってみてください。

まとめ
ゾンビネタになるといくらでも書けるので、なかなかの長文になってしまいました。ゾンビドラマには、人間の深層心理の奥深くにある本能的恐怖や嫌悪感、そして無常観があります。さっきまで生きて愛を語り合っていた恋人がゾンビ化した途端に心も愛も失ってしまうという、人であって人ではないものになってしまう恐怖や絶望感など、考えれば考えるほど深いドラマ性があります。
今まで様々なホラー映画が作られ、たくさんのモンスターが生み出されてきましたがここまでゾンビが愛され多くの作品が作られ続けているということは、ただ単純に気持ち悪い物見たさだけではない何かがあるからなのではないかと僕は思っています。
現在huluでは、ウォーキング・デッドのシーズン8のリアルタイム配信とシーズン1〜7まで全100話を見ることができます。月定額で933円ですが2週間は無料で視聴ができます。
うんざりするほどゾンビと人の業を見たいという方には、ドラマ「ウォーキング・デッド」はおすすめです。
ウォーキング・デッドはコミック原作のドラマです。コミックもまたドラマとは違った魅力がありますのでおすすめです。
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