小説『死ねばいいのに』を読んで感じたこと

京極夏彦の小説『死ねばいいのに』を読んだので感想などネタバレしないように気をつけながら書かせていただきます。書評のような立派なものではなく、あくまで読書感想文です。

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北海道が生んだ天才ミステリー作家

京極夏彦氏は映画化もされた「姑獲鳥の夏」など数多くのミステリー小説を執筆している小説家で、北海道出身の元グラフィックデザイナーという部分になんとなくシンパシーを感じる大好きな作家さんの一人です。

この人の小説はページ数が多く、とにかく分厚くて百鬼夜行シリーズはかなり気合を入れなければ読了できないほどのボリュームです。どんなに分厚くても物語に引き込む筆致の確かさやミステリーの緻密さは一級品です。

6人の人物が語る心の闇

今回読んだ小説「死ねばいいのに」は、ボリュームも少なくサラッと読める本ですが、内容は一筋縄ではいかない、なかなかの曲者です。

アサミというひとりの女性の死を軸にして、女性と生前交流のあった人物たちを訪ねて歩く「ワタライケンヤ」目線で物語が進んでいきます。犯人は誰なのかという部分は読んでいる内になんとなくわかってきてしまうので、ミステリー小説というカテゴリーとはちょっと違うと思いますが、読み終えた後に感じる何ともいえない感覚ともう一度最初から読み返してみると違った世界が見えてくるという面白い仕掛けになっています。

アサミと関わった5人の人物が語る自分本位で身勝手な話に対してワタライが放つ「死ねばいいのに」という一言がすべてに共通するキーワードとなっていてとても印象的です。5人の語る言い訳じみた言葉の数々は読者も含めて現代に生きる誰もが抱える心の闇から湧き出てくるものであり、一般人の枠から逸脱しているワタライ目線を通せば、それらが醜く歪んで見えるという構造になっています。

まとめ

デザイナーの仕事の合間に“趣味”として初めて書いた小説で即デビューしてしまうほどの天才ぶりはこってりした長編小説だけでなく、あっさりとした小説でもいかんなく発揮されています。実写化するほどパンチ力のあるミステリーというわけではありませんが、天才作家京極夏彦らしいおすすめの読ませる小説です。

死ねばいいのに

京極 夏彦 講談社 2010-05-15
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by ヨメレバ

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