つい最近、ネットでこのような記事が話題になっていました。
ちょっと前ぐらいから街中の広告やチラシ、雑誌、テレビなどでいらすとやさんのイラストをよく目にするようになっていて、一度気付くとここにもあそこにも、こんなところにまで!! みたいな感じで気になっていたのですが、やっと皆さんも気付いたようですね、世界がいらすとやに浸食されていることを…。
いらすとやとは?
いらすとやとは、正式名称を「かわいいフリー素材集 いらすとや」といい、イラストレーターのみふねたかし氏が運営している会員登録の必要もなく、商用利用もできるイラスト素材無料ダウンロードサイトです。
僕も広告制作をする際にいらすとやさんを利用することも多く、少なくとも4〜5年ぐらい前から使わせてもらっています。絵柄はシンプルなゆるいタッチのカラフルでかわいいテイストが特徴です。絵柄のイメージから女性なのかと思っていましたが、どうやら男性イラストレーターのようです。
いらすとやの功罪?
こちらのエントリーでは、いらすとやが他のイラストレーターの仕事つぶしをしているとの内容が書かれています。
僕も副業イラストレーターとして活動していて、フリーイラストダウンロードサイトのイラストACに素材投稿をしていますので、いらすとやさんは競合相手ということになります。たまに僕のイラストが印刷物に使われていたりするのを発見して喜んで他を見ると、その10倍ぐらいいらすとやの素材が使われていたりします。
いらすとやをはじめ、イラストACやイラストボックスなどのイラスト素材ダウンロードサービスは、商用利用可の無料素材なので誰でも気軽に手軽に使うことができます。昔であれば、イラストレーターにお金を払って描いてもらっていたイラストを無料で利用できるわけで、特にいらすとやのようなクォリティとバリエーションの豊富なイラスト素材が無料で使い放題というのは10年前では考えられないようなことで、どこを見てもいらすとやの素材だらけになるというのもある意味納得できることです。
無料イラスト素材で稼ぐシステム
商用利用可の無料イラスト素材をダウンロードして使えるようになったのは、ここ数年のことでおそらく10年前にはほとんど無かったはずです。昔は個人で作った低解像度の素材をHPで配布して、商用利用する場合には料金が発生するというような形が主流でした。
具体的には、雑誌や広告、広報誌、映像などの制作でお金が動くようなものにイラスト素材を入れる場合には、使用料の発生するイラスト素材を使っていました。イラストには著作権が発生するので、勝手に使って訴えられれば賠償金を支払わなければならないので、著作権者から使用権(ロイヤリティ)を買ってイラストを使うというのが今までの形だったのです。ロイヤリティはイラストレーターの収入源になり、イラスト素材が使われるほど儲かるというシステムでした。
それがここ最近では、ロイヤリティフリーにして自由に素材のダウンロードができるシステムが主流になっています。ロイヤリティが無いのにイラストレーターはボランティアでイラスト素材を描いているのかといえばそうではなく、サイトに広告を貼ってそこから収入を得ています。ブログと同じくPVが上がれば広告クリックなどから発生する収入も上がるので、イラストのダウンロード数が上がることで連動してPVも上がり、収入も増えるというカラクリになっているのです。
イラストレーターの新しいスタイル
イラストレーターという職業は資格もいりませんし、定義も曖昧でほとんどの人は“自称”です。他人からイラストレーターとして認められている人はかなり少ないのではないでしょうか。もちろん僕も自称の副業イラストレーターです。
僕は元々、自分の広告制作の仕事で使うためのイラストを自前で描いていたところから、ストックフォトサイトでイラスト販売を始めて、誰かにイラストを使ってもらいその対価としてお金をもらうようになってから勇気を出してイラストレーターを自称するようになりました。ネット中心に活動できる今の時代は、ちょっと絵が描ける人がイラストレーターを自称できる敷居がかなり低くなっているような気がします。
しかし、イラストレーターを名乗ってイラストの仕事が入ってくるかといえば、そんなに甘くはありませんし、一億総イラストレーター時代の中でイラストで食べていくのは至難の業です。そんな中でインターネットの特性を最大限に利用し、マーケティングを基に誰がどう使うかもわからないイラスト素材を描き続けているいらすとやは、今の時代に適応した新しいスタイルのイラストレーターであり、添え物ポジションのイラスト素材でありながら世間を騒がすほど利用されているということは、同じくイラスト素材投稿をしている自称イラストレーターの希望の星でもあると思います。
まとめ
広告デザイナーとして見るといらすとやさんのイラスト素材は、クセもなく適度に個性があり、商業広告との相性がすごくいいのでとても使いやすいんです。イラストレーターとして見ると、タッチの緩さやデフォルメの仕方、モチーフのまとめ方などとても参考になることも多く、これだけ広く使われるのは当然だろうと思います。
とはいえ、イラスト素材作家としては競合相手なので、僕も負けないように切磋琢磨して、いずれはどこ見てもShrimpgraphicさんのイラストばっかりだねぇなんて言われるように頑張ります。
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