不気味なメタルMV特集

プロフェッサー目樽 ヘヴィメタ

プロフェッサー目樽

ヘヴィーメタルと一口に言っても、バンドによってコンセプトやカラーは違います。あるバンドでは筋骨隆々なパワフルさをテーマにしていたり、セックスやドラッグをテーマにしていたり、神話や中世のファンタジックな世界をテーマにしていたりと様々です。

その中でも“グロテスク・ホラー”というテーマはヘヴィーメタルには欠かせない要素のひとつです。今回はヘヴィーメタルの独壇場とも言える不気味なMVをご紹介します。

不気味なメタルMV9選

Korn – Insane

Kornは20年以上のキャリアを持つアメリカンメタルバンドの中堅的存在として精力的に活動しています。ヘヴィなサウンドをベースにしたダークな世界観はデビュー以来変わっていません。大部分の歌詞にはボーカルのジョナサン・デイビスが幼年期に体験した壮絶な虐待体験が反映されているとも言われていますが、ダークな中に人生の無常観も垣間見えます。

SUICIDE SILENCE – Wake Up

SUICIDE SILENCEはデスコアメタルバンドの中でも社会の問題や矛盾などの重いテーマの曲を多く作っています。ボーカルのミッチが「目を覚ませ!」と呼びかけるこのMVは、完全にイってしまっている人目線でトランス状態を体験できるというとても秀逸なMVです。

Bring Me The Horizon – Pray For Plagues

こちらはイギリスのデスコアメタルバンドBMTHのホラー感満載のMVです。デスメタルとホラーは相性もよく、B級ホラー映画によく使われていたりします。MV内にも貞子的なキャラが出てきますが、日本のホラー映画のテーマ音楽にもデスメタル使ってみてはいかがでしょう?

SLAYER – World Painted Blood

SLAYERはいまやメタル界ではメジャーバンドながら、とにかくグロ・ゴア表現の手を緩めないスラッシュメタルの帝王です。このMVは大国のエゴにより血塗られている世界を揶揄したものです。一見政治や社会と縁遠いようなヘヴィーメタルでもこういう形で社会や政治にアプローチもできるのかと目からウロコの一本です。

Motörhead – When The Sky Comes Looking For You

早いものでボーカルのレミーが亡くなってから一年が経ちました。一周忌ということでMotörheadのホラー映画テイストMVをご紹介します。アメリカでは死神もハーレーに乗ってやって来るというなんだかカッコイイ一本です。

Slipknot – The Negative One

ホラー映画において悪魔と美少女というのは最強の取り合わせというか、純真さの象徴である少女にその対極にある悪魔が宿ることにより非常に残酷で禍々しいモノになるということなんだろうと思います。SlipknotのこのMVはシンプルながらとても美しくも禍々しい世界観に仕上がっています。

Marilyn Manson – Tourniquet

マリリン・マンソンは人間が生理的に嫌悪感を抱くような所を意図的に突いてくるのが非常にうまいです。エログロの下品さや汚らしさの中にある美意識のようなものは日本のイラストレーター丸尾末広氏の絵を見たときのような感覚に近いような気がします。

Nine Inch Nails – Came Back Haunted

Nine Inch Nailsはマリリン・マンソンとはちょっとアプローチの仕方が違いますが、精神的な不安感や生理的な嫌悪感を刺激してくるトランス系のMVを多く作っています。インダストリアルサウンドの無機質なリズムもさらに不安感を増幅させる効果抜群です。

Tool – Stinkfist

今回の企画はこのバンドを紹介したいがために書いたようなものです。アメリカのプログレッシブメタルバンドのToolは、変則的な曲構成と哲学的な歌詞世界、さらには難解で不穏なMVと重度の厨二病患者には堪らないバンドです。こういう世界観は意味を深読みするより「うわぁ、カッコイイ」と感じるのみです。まさにDon’t think. FEELです。

ついでにToolのお気に入りMVをもう一本ご紹介します。

まとめ

いかがでしたでしょうか。人によっては不気味なものは避けることもあると思いますが、不気味なものを見たときの嫌悪感や何とも言えない感情もスパイスのようなもので、意外に味わい深いものでもあります。

商業ベースのエンターテインメントでは敬遠されがちなものもヘヴィーメタルでは大切な要素の一つで深いコクのようなものです。こればかりだと食あたりを起こしてしまいますが、隠し味的にたまにはこういう世界を見てみるのもいいのではないでしょうか。

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